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道直し(メールマガジンより転載)

 「栄村」という村をご存知ですか。長野県の最北端にある(野沢温泉村の隣に位置し、新潟県と境を接しています)人口約2,500人の小さな村で、私の地元の武蔵村山市の姉妹都市でもあります。


 この栄村、日本有数の豪雪地帯にありますから、冬の間の重要課題は、除雪をはじめとする雪対策です。介護、プロパンガス・灯油の供給、汲み取りなどのため、自動車が通れる状態を確保しなければ、村民の生活に支障をきたすのです。除雪作業には除雪車が必要ですが、集落の中には道路の幅員が足りず除雪車を入れられないところもありました。そこで、道路を拡げる「道直し」が必要になりました。

 しかし、道路財源を使い国の補助事業として整備しようとすると、全国一律の規格が押し付けられます(幅員6~7メートル以上とか、カーブをきつくしてはいけないとか)。幅員を確保するためには沿道の土地をたくさん買収しなければなりませんが、そんな予算はどこにもありません。そこで、除雪車が通れる必要最小限の道路を通すという方針を立て、安くあげるさまざまな工夫をして(幅員を4メートル以下で我慢する、あるいは、用地買収が難しいところでは多少ジグザグの道でも可とするなど)、村独自で道直しをすることにしたのです。

 その効果は絶大で、通常1メートル10数万円かかる道路が、2~3万円、通常の5分の1程度の費用でできました。もちろん、除雪車が通っても全く問題のないしっかりとした道です。こうして、安い費用で住民ニーズを反映した道路整備が可能になりました。本当に必要な道路を地域の力だけで作った極めてまれなケースといえます。


 ひるがえって、他の地域の状況を見るとどうでしょう。高速道路なみの幅員のガラガラに空いた道路がありながら、それと並行する高速道路の建設を計画してみたり、森林を切り開き生態系を破壊するような道路を通してみたり、卓球のラケットやマッサージチェアの購入にガソリン税が浪費されてみたりといったことが続いています。本当に必要な道路が整備されないというのが実情であり、栄村のような成功例は殆どないのです。

 諸悪の根源は、道路特定財源の硬直性にあります。用途が道路の建設に限定され、補助金として使おうとすると地域ニーズに合った形で行うことが難しいのです。政府与党は、「ガソリン税を値下げをすると、財源がなくなって、都市部の本当に必要な道路の整備ができなくなる」と脅しをかけています。でも、今まで通りの特定財源・暫定税率を維持したところで、本当に必要な道路の整備、電柱地中化、開かずの踏み切り対策が後回しにされている現状は変わりません。

 今やらなければいけないのは、道路財源を一般財源化した上で、使いみちを限定しない交付税として地方自治体に渡すことです。そうすれば、各自治体が地元のニーズを正確に把握した上で、福祉や教育など他の重要課題と天秤にかけ、本当に必要な道路だけを作れるようになります。そして、仮に、道路をつくることに決まった場合でも、地域の実情に合ったものをつくることが可能になるのです。


 先日、民主党の有志で栄村長を国会にお招きして勉強会を開きました。80歳近いご高齢ながら、「道直し」について熱心に語る高橋彦芳村長を見ながら、ガソリン税の一般財源化・地方自主財源化の正しさを確信しました。