天下りバンク
昔、ある官庁に就職が決まった友人がいました。その友人に、「なんで△×省を選んだの?」と聞いたところ、彼はニヤリと笑って言いました。
「あそこは天下り先が多いからね。」
官僚の世界に、天下りはつきものです(ピラミッド型の年功序列組織を維持するために、一人が昇進すると同期はやめさせられる)。そして、高級官僚であれば、官庁を退職後、特殊法人を渡り歩き、そのたびに数千万円の退職金を受け取り、さらに民間企業に天下って行きます。ひどいケースでは、天下りを繰り返すことにより数億円ものお金を懐に入れることができるといわれています。そして、このような天下り先を守るために、特殊法人用の無駄な仕事が作られたり、国から補助金が流れたりして、行政が歪み税金が浪費されることになるのです。
このように問題の多い天下りですから、今の法律でも一応の縛りがあります。たとえば、公務員は、退職後2年の間、民間企業(離職後5年間の職務に関連するもの)への再就職が禁じられています。しかし、これは裏を返せば、退職2年後以降は天下りし放題ということを意味しますし、問題の多い特殊法人などへの再就職は全く制限されません。結局、現在の法規制はあまり実効性がないのです。
さて、そんなお寒い現状の中、政府は、各省庁からの再就職の「あっせん」を禁止する法案を提出してきました。そして、これによって押し付け的天下りをなくすのだと、鳴り物入りで宣伝しています(また、役所や族議員に法案反対のポーズをとらせ、「官邸vs.抵抗勢力」という絵を作ることにも余念がありません)。
では、今回の政府の法案で本当に天下りはなくなるのでしょうか。そんなことはありません。むしろ逆です。
実は、政府案は、天下りの「あっせん」を禁じるかわりに、天下りそのものを解禁しているのです。これでは「露骨な押し付け的あっせんさえしなければ、自由に天下りをしてもいいですよ」と宣言しているようなものです(そもそも天下りは、官庁の許認可権や予算を背景とした無言の圧力によって行われるのですから、いくら表面的に「あっせん」を禁止しても無意味です)。
さらに問題なのは、政府案では、高級官僚の天下りを一手に引き受ける「天下りバンク」を創設することになっていることです。現在は各省庁が個別に細々と天下りのあっせんを行っているのですが、これからは「天下りバンク」を中心に国をあげて盛大かつ合法的に天下りを支援しようというわけです。本来なら、官僚も普通の人と同じようにハローワークで再就職先を探せばよいはずです。なぜ官僚だけ特別な天下りバンクが必要なのでしょうか。こんな天下り促進策を「公務員制度改革」と称するのは、趣味の悪い冗談としか思えません。
天下りの根絶は、民主党が、結党以来取り組んできた課題です(もちろん、今国会でも「天下り根絶法案」を提出しています)。私たちは、官僚機構の人事制度までふみこんで、天下りをなくせるよう提案しています。ぜひ、この夏の参議院選挙に勝利して、天下りのない公正な日本を実現していきたいと思います。